私が描く21世紀の日本のビジョンは、世界最高峰の科学技術をもち、世界の指導者たる人格を備え、世界平和のために貢献していく姿である。そのために日本は経済問題を克服し、経済力と科学技術と共に世界No. 1となり、教育を通して日本人としての誇り、国際感覚、正しい判断ができるような人格を形成し、経済力と技術力と正しい判断力で日本と世界のために貢献していくことである。
私が提言する日本の三大ビジョン
1.健全な経済と高度な科学技術
国と地方そして政官民が一致協力して、日本が世界No.1の経済大国と技術立国となることである。そして自由貿易協定や経済連携を促進し世界経済をリードし、高度な科学技術で耐久性と信頼性のあるMade in Japanの日本製品を低価格で国内外に提供していくことである。
2.平和外交
平和な精神を憲法に反映させ、平和理念に基づいて国際貢献、日米同盟、国連への参加、アジア外交を展開していくことである。
3.人格形成のための教育
日本の国を知り敬い、国際感覚を養い、世界に誇れる日本人になるための教育である。すぐれた教育で高度な知識や技術力を養い、開発した技術を国際社会において正しい判断で使えるようになること、犯罪が起こらないような教育をして日本を再び世界一安全な国家に復活させていくことである。
これらの三本柱はかつて日本人が持ち備えていたものである。将来それらを復活させて、21世紀に求められる世界的価値観を加え、国作り、物作り、人作りを中心に、次元の高い国家を形成していくことが日本の国のカタチだと思う。
健全な経済と高度な科学技術
まず日本は国内経済を立て直し、必要な資源を海外から輸入し、高品質の日本製品を世界に輸出していくことである。日本の経済再生は地方の活性化が鍵である。政府は構造改革を推し進めて、政府から民間へ、中央政府から地方へと国の体制を変えていく。そして権限と税財源をできるだけ地方へ委譲し、地域主権を確立し、地域経済を活性化させていくことである。地域経済が再生し中小企業を中心に地域経済が活性化すれば、日本はデフレを克服し雇用も創出できるようになろう。そして新たな技術革新への幕開けの時代を切り開いていく。それは大中小企業と大学などの研究機関が研究開発の分野で協力し、政官民が一体となって高品質のmade in Japanを製造し世界へ輸出していく国家的なプロジェクトである。日本は「海外では安いものしか売れないという迷信」を捨て去り、信頼ある「純日本製品」をどうどうと製造し輸出していくことを考えるべきである。
私自身、多くの国を旅して気づいたことだが、今の時代は発展途上国の人々でさえ、すぐに壊れてしまう安物よりも、高めでも長年安心して使える日本製品を買いたいと言っている。それは製品を買うというよりも、製品に内在している保障や保険、つまり信頼性を買うものだ。21世紀は、高くても長年安心して使える保障付きの純日本製品が世界で売れる時代である。日本は不具合やリコールが生じない質が高く信頼性のある純日本製品を少しでも安く提供できるよう技術革新をすべきであろう。そのために大企業は国内の中小企業と協力して生産を国内に集中させ、大学と提携して研究開発を進めて日本の「物作り」を復活させるべきである。政府は自由貿易協定や経済連携を戦略的に利用して、技術開発に必要な資源を輸入し、農業分野も含めできる限り日本の市場を開放し、守りから日本製品を売る攻めの時代を築いていくべきであろう。21世紀は、日本がアジア諸国と経済関係を強化すべき時代である。特に東アジア経済統合の可能性を視野に入れつつ、その枠組みを考慮しながら自由貿易協定や経済連携を戦略的に締結していくのがよいと思う。
平和外交
平和外交の基礎となるのは、日本の平和憲法だと思う。日本は平和精神を憲法の中に堅持し、世界の指導者たる立場で、国際協調の元、世界平和を推進していくべきだと思う。これは日本国憲法の前文に見られる「平和の維持」と「国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」ことを実現することでもある。そのため日本はかつてのODA世界一へと復活し、経済支援を強化していくべきであろう。しかし世界でリーダーシップをとるには、人的貢献が要求される。自衛隊に十分な装備を持たせて海外に派遣することは、世界平和を推進する指導者として当然の役割であろう。それに準じて、国際貢献に関する憲法も見直していくのがよいと思う。しかし国連主導で行われない人的貢献は、たとえそれが純粋な復興支援であったとしても、誤解を招いたり歓迎されないこともありうる。万が一当事国と争うようなことが生じれば、復興支援の意味がなくなってしまう。できれば日本の人的貢献は、防衛手段としての武器使用も含めて、国連主導の元に参加することを憲法の中で明記したい。しかし、武力行使など憲法に抵触すると思われる部分は、国民的議論を経て将来の国家のあり方を考えながら慎重に決めていくのが望ましい。また日本は国連安保理の常任理事国となって、中東問題や今まであまり着手してこなかったアフリカ問題にも、経済のみならず政治的にも関与していくことが好ましい。
世界中を旅して実際に聞いてきたことだが、日本が世界に最も貢献できるのは日本の科学技術だと思う。アフガニスタンやイラクなど復興を必要としている国は、何よりも日本の技術力を求めている。日本が戦後奇跡的な復興を成し遂げたのは日本の技術のおかげであり、復興国は日本に対し、科学技術を惜しむことなく最大限に利用して、インフラ整備、建物の復旧、人材育成など国の復興に貢献してもらいたいと願っている。21世紀における日本の国際貢献は、技術的貢献の時代になると思う。
平和外交を求める一方、自国を十分に守ることのできない日本の姿は自然ではないと思う。日米同盟を維持しながらも、日本は米国への軍事的依存を減らし自国を十分に防衛できる力を備えていくべきだと思う。また日米地位協定や米軍再編は、日本の平和理念を機軸に成り立つものであり、米国の軍事的戦略に従うものではないと思う。日本の主権や平和理念を訴えていき、真に理解し協力し合える対等なパートナーとして、日米同盟を再構築していく時代が来ているのではなかろうか。
日本にとって21世紀は、平和外交をアジアに向けて展開すべき時代である。朝鮮半島、台湾海峡、日中関係、日朝関係、北方領土問題と、アジア周辺地域はアジアの冷戦が終わるかの如く、今まで以上に多くの問題が浮上している。北朝鮮など国交がない国に対しては「対話と圧力」のバランスを保ちつつ、人道支援や経済支援も考慮して、平和的に問題を解決していくのが好ましい。また中国のように経済の交流があっても外交的上の問題がある国に対しては、経済と外交を切り離すことが重要である。外交問題のために、活発な経済が遮断されるようなことがあれば両国にとって大きな経済的打撃となり、経済が冷えきってしまう。特に急速な経済成長が期待される中国と経済が悪化することは、日本としては避けたいところだ。反対に良い経済関係が続けば、外交問題も引き続き話し合われることが期待されよう。しかし、首脳同士が互いの国を行き来して誤解を解き問題を解決していくことが平和外交で最も重要なことであり、その時になって始めて両国に政治的、経済的、社会的安定がもたらされると思う。
人格形成のための教育
日本の古い歴史、伝統、文化をよく知り、日本の国を誇り敬うことができる日本人は、どれだけいるだろうか。今、日本は日本人としての本質や感覚を失い、西洋化してしまっている。この「日本人の危機」を克服し、日本を誇り敬うことができる日本人を育てるために「日本人育成教育」が急務だと感じる。国、教育機関、家庭、社会が一体となって、子供達に、また大人も含めて、「日本を知るための教育」を全国的に展開していくべきであろう。将来の日本は国際化も不可欠である。しかし日本人が国際人となるための第一歩は、やはり日本を知ることであろう。現在は異文化教育や英語教育など、国際感覚を養う教育が熱心に行われているが、国際の場で一番必要とされるのは、他国の人達が持ち備えていない「日本人としての知識、教養、能力」である。西洋化してしまい、日本人としての本質を失ってしまった日本人は、もはや世界が尊敬し頼れる日本人ではない。世界における日本人は、日本人でなければならない。その上に、21世紀に必要とされる高度な能力や技術、そして国際感覚を養っていくのが好ましい。国際感覚で大切なのは、「分け隔てなく世界の人と接する」という平等な精神と相手の国の伝統や習慣を「受け入れる姿勢」である。ここにも日本の平和な精神が反映されてくると思う。また二度と戦争をしない「平和な精神」を日本人の財産として後世に引き継いでいく教育、「命の尊さ」や、「現在の豊かな社会の恩恵を受けている若い世代が高齢者を支えていくことの大切さ」などを教えていく教育も必要だと思う。
人格を形成する教育は「日本人としての復活」と「国際人へ向けての次世代教育」である。できればこれらを教育基本法に反映させていくことが望ましい。そして教育の質を向上させるためにも、国と地方がそれぞれの責任分担を明確にし、十分な予算と教職員の質の向上を考えていくべきだと思う。
結語
私は21世紀の日本のビジョンを、「世界最強の経済、科学技術、平和精神のグローバル化、それらを実現するための人作り」と描いた。経済と科学技術の物質的な面と、平和精神という精神的な面を十字に組んで、世界平和のために貢献するのが21世紀における日本のカタチだと思う。